毎年9月9日は、五節句のひとつである重陽の節句(ちょうようのせっく)です。別名は菊の節句。菊を飾り、菊酒や菊茶をいただき、無病息災や長寿を願う日として知られています。
けれど、重陽の節句について調べていると、「不吉」「怖い」「9月9日は縁起が悪いの?」という言葉が出てきて、不安になる方もいるかもしれません。
結論から言うと、重陽の節句は不吉な日ではありません。
ただし、古くは「陽の気が強くなりすぎる日」と考えられたため、菊の力を借りて邪気を払い、心身のバランスを整える行事が行われてきました。つまり重陽の節句は、怖がる日ではなく、強い気を整えて、健康や長寿、幸運を願う日なのです。
この記事では、重陽の節句が不吉と言われる理由、9月9日が怖いと感じられる背景、本当の縁起、そして現代でもできる邪気払いの過ごし方をわかりやすく解説します。
重陽の節句は不吉?まず結論から
重陽の節句は、不吉な日ではありません。
9月9日は、奇数の中で最も大きい「9」が重なる日です。古代中国の陰陽思想では、奇数は陽の数とされ、9はその中でも最も強い陽数と考えられました。その9が月と日に重なるため、9月9日は「重陽」と呼ばれるようになりました。
本来、陽の数字が重なる日は縁起が良い日とされます。3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕も、奇数が重なる節句です。
ただし、重陽の節句は少し特別です。9は陽の力が最も強い数字なので、9が重なる9月9日は「陽の気が極まる日」と考えられました。昔の人は、強すぎる気はそのままにしておくとバランスを崩すことがあると考え、菊を用いて邪気を払い、無病息災や長寿を願ったのです。
そのため、重陽の節句には「不吉を避ける日」という一面があります。しかしそれは、9月9日そのものが悪い日という意味ではありません。不吉を遠ざけ、良い気に変えるための日と受け止めるのが自然です。
9月9日が不吉・怖いと言われる理由
重陽の節句や9月9日が「不吉」「怖い」と言われるのには、いくつかの理由があります。どれも必要以上に恐れるものではありませんが、背景を知ると重陽の節句の意味がより深くわかります。
陽の気が強くなりすぎると考えられたから
重陽の節句が不吉と言われる一番の理由は、陽の気が強くなりすぎる日と考えられたことです。
陰陽思想では、世界は陰と陽のバランスで成り立つと考えられます。陽は明るさ、動き、発展、外へ向かう力を表します。一方で、陰は静けさ、休息、受け取る力、内側へ向かう力を表します。
陽は悪いものではありません。むしろ物事を動かす大切な力です。しかし、陽ばかりが強くなると、気持ちが焦ったり、疲れが出たり、物事が空回りしやすくなると考えられました。
そのため、9月9日は「強い陽の力をそのまま受ける日」ではなく、菊の香りや季節の食べ物を使って、気を整える日になったのです。
9という数字に「苦」のイメージを重ねる人がいるから
日本では、9という数字に「苦」を重ねて、不吉と感じることがあります。病院や旅館などで4や9の数字を避けることがあるのも、こうした語呂合わせの影響です。
そのため、9月9日という並びを見ると、「苦が重なる日なのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
ただし、重陽の節句の本来の意味では、9は「苦」ではなく、最も大きな陽数です。9月9日は、悪い数字が重なる日ではなく、強い陽の力が重なる日として扱われてきました。
つまり「9月9日=不吉」と決めつける必要はありません。語呂合わせとして不安になるより、重陽の節句本来の意味である邪気払いと長寿祈願を意識した方が、前向きに過ごせます。
菊に仏花の印象があるから
重陽の節句は、別名「菊の節句」と呼ばれます。ところが現代では、菊に対して「お墓」「お葬式」「仏花」という印象を持つ人も少なくありません。
そのため、菊を飾る日と聞くと、少し寂しい印象や不吉な印象を持つ方もいるでしょう。
しかし、重陽の節句における菊は、悲しみの花ではありません。古くから菊は、邪気を払い、長寿を願う花とされてきました。宮中では菊酒を飲んだり、菊の花を愛でたりして、健康や長寿を祈る行事が行われていました。
重陽の節句の菊は、命を遠ざける花ではなく、命を守り、健やかさを願う花なのです。
「邪気払いの日」と聞くと怖く感じるから
重陽の節句では、菊で邪気を払う、厄を避ける、無病息災を願うといった説明がよく出てきます。
その言葉だけを聞くと、「何か悪いことが起こる日なの?」と怖く感じるかもしれません。
けれど、昔の年中行事では、季節の変わり目に邪気を払うことはとても自然なことでした。春には桃、端午には菖蒲、七夕には笹、重陽には菊。季節の植物を使って、体調を整え、災いを避け、健やかな暮らしを願っていたのです。
重陽の節句の邪気払いも、怖い儀式ではありません。現代で言えば、掃除をする、花を飾る、温かいものを飲む、ゆっくり休むといった、暮らしを整える行動に近いものです。
重陽の節句が縁起の良い日と言われる理由
重陽の節句は、不吉な日ではなく、むしろ縁起の良い日として大切にされてきました。
その理由は、9が重なる特別な日であり、邪気払いと長寿祈願の行事が重なっているからです。
9は最も大きな陽数だから
陰陽思想では、奇数は陽、偶数は陰とされます。1、3、5、7、9の中で、9は最も大きな陽数です。
その9が重なる9月9日は、陽の気が満ちる日とされました。強い気があるからこそ、ただ放っておくのではなく、良い方向へ整える必要がある。これが重陽の節句の基本的な考え方です。
重陽の節句が「一年で最も縁起が良い日」と言われることがあるのは、9という強い陽数が重なり、さらにその力を菊で清めて長寿や健康を願う日だからです。
菊が邪気払いと長寿の象徴だから
重陽の節句に欠かせないのが菊です。
菊は、古くから邪気払いと長寿の象徴とされてきました。菊の香りには悪い気を遠ざける力があると考えられ、菊酒を飲むことで無病息災や長寿を願う風習が広まりました。
また、重陽の節句には「着せ綿」という風習もあります。前日の夜に菊の花へ綿をかぶせ、翌朝、菊の香りと露を含んだ綿で体をぬぐい、若さや長寿を願うものです。
このように、重陽の節句は「不吉だから怖い日」ではなく、不吉を祓い、命を健やかに保つための日として受け継がれてきました。
秋の実りを祝い、暮らしを整える日だから
旧暦の9月9日は、現在の暦では10月頃にあたります。昔は菊が美しく咲き、栗など秋の実りを味わう季節でした。
そのため、重陽の節句は「菊の節句」と呼ばれるだけでなく、「栗の節句」として親しまれることもあります。栗ご飯や栗のお菓子をいただき、収穫の恵みに感謝する意味もありました。
現代の9月9日はまだ暑さが残ることも多いですが、暦の上では秋へ向かう節目です。夏の疲れを整え、秋から年末へ向けて暮らしを立て直す日として考えると、重陽の節句の意味が身近になります。
重陽の節句に本当に怖いことはある?
重陽の節句に、必ず悪いことが起こるわけではありません。9月9日だから事故に遭う、病気になる、運気が下がるといった意味はありません。
ただし、重陽の節句の時期は、現実的には体調を崩しやすい頃でもあります。
9月は、夏の疲れが出やすく、朝晩の気温差も少しずつ大きくなります。新学期や仕事の切り替わりで、生活リズムが乱れる人もいるでしょう。気持ちが落ち込みやすかったり、疲れが抜けにくかったりすることもあります。
その意味では、重陽の節句に「不吉」や「邪気払い」という言葉が残っているのは、季節の変わり目に体と心を守る知恵とも言えます。
怖い日だと考えるより、無理をしすぎない日、心身を整える日、自分を守る日として過ごすのがおすすめです。
重陽の節句にやるといい邪気払い
重陽の節句の邪気払いは、難しいことをする必要はありません。昔ながらの意味を大切にしながら、現代の暮らしに合う形で取り入れてみましょう。
菊を一輪飾る
一番取り入れやすいのは、菊を飾ることです。
玄関に飾れば、外から入ってくる気を整える意味になります。リビングに飾れば、家族が集まる場所の空気をやわらげてくれます。寝室に飾れば、眠る前の気持ちを落ち着かせるきっかけになります。
大きな花束でなくても、一輪で十分です。白や黄色の菊を選ぶと、重陽の節句らしい清らかさが出ます。
菊の意味をさらに詳しく知りたい方は、重陽の節句が菊の節句と言われる理由も参考にしてください。
菊茶や菊酒をいただく
重陽の節句には、菊酒を飲んで長寿を願う風習があります。
ただし、お酒を飲めない方、妊娠中の方、服薬中の方、体質的にお酒が合わない方は、無理に菊酒を飲む必要はありません。菊茶や温かいお茶でも十分です。
菊を飲み物や料理に使う場合は、必ず食用菊を使ってください。観賞用の菊は農薬などの心配があるため、口に入れないようにしましょう。
玄関と水回りを掃除する
不吉を避けたい、悪い流れを変えたいと感じるときは、まず掃除が効果的です。
重陽の節句に特におすすめなのは、玄関と水回りです。玄関は運気の入口、水回りは不要なものを流す場所と考えられます。
- 玄関:靴をそろえ、たたきを拭く
- トイレ:床や便器を丁寧に掃除する
- お風呂:排水口や鏡をきれいにする
- キッチン:シンクやコンロを整える
すべて完璧に掃除しなくても大丈夫です。ひとつの場所だけでも、気持ちが軽くなるなら十分な邪気払いになります。
栗ご飯や秋なすを食べる
重陽の節句は、秋の実りをいただく日でもあります。
栗ご飯は、秋の豊かさや実りを感じられる行事食です。秋なすは「成す」に通じるため、願いを形にする縁起物として見ることもできます。
食べ物を通して季節を感じることは、体と心のリズムを整えることにつながります。重陽の節句の食べ物について詳しく知りたい方は、重陽の節句の食べ物とスピリチュアルな意味もあわせて読んでみてください。
願い事よりも「手放すこと」を書く
重陽の節句に願い事をするなら、ただ欲しいものを書くよりも、まず手放したいものを書くのがおすすめです。
- 人間関係のモヤモヤを手放す
- 自分を責める癖を手放す
- 疲れをため込む生活を見直す
- 不要なものを捨てて部屋を整える
- 秋から年末に向けて、必要なことに集中する
9月9日は、完成や区切りを意識しやすい日です。新しい願いを始める前に、古い疲れや不要な思い込みを手放すことで、次の運気が入りやすくなります。
重陽の節句に避けたいこと
重陽の節句は不吉な日ではありませんが、せっかくの邪気払いの節目です。気持ちよく過ごすために、次のようなことは避けるとよいでしょう。
怖い情報ばかり見て不安になる
「重陽の節句 不吉」「9月9日 怖い」と検索していると、必要以上に不安をあおる情報に触れることがあります。
けれど、重陽の節句は怖がるための日ではありません。強い気を整え、健康や長寿を願う日です。不安な言葉を見続けるより、菊を飾る、掃除をする、温かいお茶を飲むなど、実際に心が落ち着く行動を選びましょう。
観賞用の菊を食べたり飲み物に入れたりする
菊酒や菊茶を楽しむときは、必ず食用菊を使いましょう。
花屋で売られている観賞用の菊は、食べることを前提に育てられていない場合があります。農薬や薬剤の心配があるため、飲み物や料理には入れないでください。
体調不良をスピリチュアルだけで片付ける
9月9日前後に体調が悪くなると、「重陽の節句の影響かな」と感じることがあるかもしれません。
しかし、季節の変わり目は、気温差や夏の疲れで体調を崩しやすい時期です。スピリチュアルな意味を考える前に、まずは休息、食事、睡眠、水分を大切にしてください。症状が強い場合や長引く場合は、無理をせず医療機関に相談しましょう。
無理にお酒を飲む
菊酒は重陽の節句らしい風習ですが、飲めない人が無理をする必要はありません。
菊茶、白湯、温かい緑茶、栗のお菓子など、自分の体に合う形で取り入れれば大丈夫です。開運のために体へ負担をかけるのは本末転倒です。
重陽の節句と2026年9月9日の過ごし方
2026年の重陽の節句は、2026年9月9日(水)です。
平日なので、大がかりな行事をするのは難しい方も多いでしょう。けれど、重陽の節句は、派手なお祝いをしなくても意味があります。
朝は玄関を整え、昼は栗やなすなど秋の食べ物を少し取り入れ、夜は菊を飾って温かいお茶を飲む。それだけでも、9月9日の邪気払いとして十分です。
2026年の重陽の節句全体の開運アクションについては、親記事の2026年9月9日重陽の節句|菊で邪気払いする開運日で詳しく紹介しています。
重陽の節句と後の雛・茱萸袋
重陽の節句には、菊酒や菊の飾りだけでなく、後の雛や茱萸袋にまつわる風習もあります。
後の雛は、3月3日の桃の節句で飾った雛人形を、9月9日にもう一度飾る風習です。雛人形に風を通し、長寿や女性の幸せを願う意味があります。
茱萸袋は、邪気を避けるための香り袋のようなものとして伝えられてきました。香りの力で悪い気を遠ざけるという考え方は、菊の香りによる邪気払いとも通じます。
詳しくは、重陽の節句と後の雛(秋の雛)、重陽の節句の飾りには「菊のお花」と「茱萸袋」も参考にしてください。
重陽の節句は不吉?よくある質問
重陽の節句は本当に不吉な日ですか?
不吉な日ではありません。9月9日は陽の数字である9が重なる日で、強い気を持つ日と考えられてきました。その強い気を整えるために、菊を使って邪気払いをする風習が生まれました。
9月9日は縁起が悪い日ですか?
9を「苦」と読む語呂合わせから、9月9日を縁起が悪いと感じる方もいます。しかし、重陽の節句では9は「苦」ではなく、最も大きな陽数として扱われます。9月9日は悪い日ではなく、邪気を払い、健康や長寿を願う日です。
重陽の節句が怖いと言われるのはなぜですか?
陽の気が強くなりすぎる日と考えられ、邪気払いの行事が行われてきたためです。また、9という数字の語呂や、菊に仏花のイメージがあることから、怖いと感じる人もいます。けれど本来は、不吉を避けて健やかに過ごすための節句です。
重陽の節句に何をすればいいですか?
菊を飾る、菊茶を飲む、栗ご飯や秋なすを食べる、玄関や水回りを掃除する、手放したいことを書くなどがおすすめです。無理に特別なことをする必要はありません。
菊を飾ると縁起が悪いですか?
重陽の節句において、菊は縁起の悪い花ではありません。邪気払い、長寿、健康を願う花です。仏花の印象がある方もいますが、重陽の節句では命を守り、暮らしを清める花として扱われてきました。
重陽の節句に願い事をしてもいいですか?
願い事をしても大丈夫です。ただし、重陽の節句は勢いよく願いを叶える日というより、邪気を払い、心身を整え、不要なものを手放す日です。願い事を書くなら、まずは手放したいことや整えたい生活を書いてみるとよいでしょう。
重陽の節句をもっと詳しく知る関連記事
- 2026年9月9日重陽の節句|菊で邪気払いする開運日
- 重陽の節句が菊の節句と言われる理由
- 重陽の節句の食べ物とスピリチュアルな意味
- 重陽の節句と後の雛(秋の雛)
- 重陽の節句の飾りには「菊のお花」と「茱萸袋」
参考にした情報
- 国立国会図書館 レファレンス協同データベース|重陽の節句の由来と菊を使う理由
- 京都観光Navi|重陽の節句
- 京都市 にしZINE|京の五節句と年中行事 重陽の節句
- 一般社団法人 日本人形協会|重陽の節句
まとめ|重陽の節句は不吉ではなく、邪気を払って縁起を整える日
重陽の節句は、不吉な日ではありません。
9月9日は、最も大きな陽数である9が重なる日です。陽の気が強くなるからこそ、菊を飾り、菊酒や菊茶をいただき、栗ご飯や秋なすを食べて、邪気を払い、無病息災や長寿を願う日として受け継がれてきました。
「9月9日は怖い」「重陽の節句は不吉」と感じたときは、悪いことが起こる日と考えるのではなく、心身を整えるサインとして受け止めてみてください。
菊を一輪飾る、玄関を掃除する、温かいお茶を飲む、早めに休む。それだけでも、重陽の節句らしい邪気払いになります。
9月9日は、不吉を恐れる日ではなく、不吉を祓い、縁起を整える日です。静かに自分をいたわり、秋からの運気をやさしく整えていきましょう。



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