三隣亡にやってはいけないこと

三隣亡にやってはいけないこと 暦注

三隣亡の日が巡ってくると、多くの方が何を避け、何をしても良いのかという疑問を持たれるかもしれません。この古くから伝わる暦注は、建築関係の大凶日とされており、一部の行為を避けることが推奨されています。しかし、実際にはどのような活動が三隣亡の日に適さないのでしょうか?そして、なぜそれらの活動を避ける必要があるのでしょうか?

本記事では、三隣亡の日にやってはいけないことについて、具体的な例と共に詳しく解説します。建築から始まり、契約、土いじり、納車、引越し、そしてお祝い事まで、この日に関わるさまざまな行動について触れていきます。三隣亡の日を無事に、そして有意義に過ごすためのガイドとして、皆様の不安を少しでも和らげることができれば幸いです。

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三隣亡(さんりんぼう)の由来と歴史

三隣亡とは、日本の暦注の一つで、建築関係にとって非常に縁起が悪い日を指します。この日は、家を建てたり、土地を掘り起こしたりするような建築行為を避けるべきとされています。その理由として、「三隣亡の日に工事を行うと、火災を引き起こし、その火事が近隣の三軒まで広がる」という言い伝えがあります。ですから、棟上げや土起こしといった建築関連の作業は、この日には控えるべきです。

読み方は「さんりんぼう」と言います。この日は、建築関係者にとっては避けるべき大凶日とされており、注意が必要です。

三隣亡の決め方

三隣亡は節切りで、正月、4月、7月、10月は亥の日、2月、5月、8月、11月は寅の日、3月、6月、9月、12月は午の日を当てています。

三隣亡の日
1月 亥の日
2月 寅の日
3月 午の日
4月 亥の日
5月 寅の日
6月 午の日
7月 亥の日
8月 寅の日
9月 午の日
10月 亥の日
11月 寅の日
12月 午の日

三隣亡の由来

三隣亡の由来は全くの不明となっていますが、暦の歴史を紐解くと幕末あたりに民間暦で大流行したのが元となっているようです。

複数ある三隣亡の由来

この三隣亡に関してはいくつかの書籍に掲載されています。

この日に棟上げなどを行うと、後日火災に見舞われ、三軒隣まで焼き亡ぼすとされたのが語源。陰陽道から発した民間信仰で、室町末期から見られるが、とくに明治時代以後に広まった。

山口佳紀『暮らしのことば新語源辞典』 講談社,2008.11,p.407より引用

普請・造作などの最凶・最悪の忌み日で、特に土木建築関係者の間でいわれる。三隣亡の語は、この日に家を建てると火事にあい、隣近所三軒まで類を及ぼすことによるという。江戸時代の古い雑書では三輪宝とし、「屋立てよし、蔵立てよし」とされていたが、いつのころからか逆に解されるようになった。

加藤友康, 高埜利彦, 長沢利明『年中行事大辞典』 吉川弘文館,2009.3,p.329.より引用

もともとは「三輪宝」と書き、山林で働く職人や大工たちが、山の木々に感謝する日として、仕事の手を休めた日でした。共に働く馬や牛もその日はお休み。三宝にお酒やお米、塩などをお供えし、手を合わせて山での無事と安全を祈願しました。

井上象英『365日、暮らしのこよみ』 学研プラス,2021.2,p.29より引用

さまざまな書籍に書いてあることが全部別ですね。明治から始まったのか本当に室町時代にはすでにあったのか…これらから推測するに、三隣亡の由来は本当にはっきりしたものはないというのがわかります。

三隣亡は三輪宝

この三隣亡、昔は三輪宝で「建築の吉日であった」というのは下記の書籍から来ているように思います。

三隣亡という大凶日は、実は江戸時代、明治以降の官暦にはいっさい掲載されたことがない。(中略)江戸時代の古い雑書などには、「三輪宝」と記されており、「屋立てよし」「蔵立てよし」と注記されてあるので、これはもともとめでたい日であった。これが、いつ頃からか「やたてあし」「くらたてあし」に変わっていった。筆者が思うに、暦の編者がある年、前年の「よ」を「あ」に写し間違え、それで何年かあと三輪宝が「あし」では都合が悪いということになり、「三隣亡」と造語したのではないだろうか。このように、三隣亡はもともと由緒のはっきりしない暦注である。しかし(中略)幕末に庶民の間で流行し、明治時代、おばけ暦に記載され、今日の流行を見るようになった。

岡田芳朗, 阿久根末忠『現代こよみ読み解き事典』 柏書房,1993.3 p.166より引用

この著者の方が「三隣亡=三輪宝」で誰かが間違って書いたのではないか、と推測されていますね。これがまことしやかに広がったのでしょう。
ただこの方も推測の域を出ていません。しかし、幕末に庶民の間で流行して明治以降に民間暦に掲載されるようになり、現代でも三隣亡が「建築関係者の大凶日、棟上げや土起こしなど建築に関することは一切忌むべき日、この日に建築を行うと火災がおこり、近隣三軒を焼きほろぼす」となって、忌み日の一つとなったのは本当です。

おばけ暦と三隣亡

さて、ここでおばけ暦という不思議な言葉が出ましたね。
このおばけ暦は暦好きなら一度は知りたい、政府非公認の幻の暦なのです。

日本は明治6年にそれまでの太陰暦を使った暦からグレゴリオ暦を使った暦に変えました。この時、明治政府は「俗信や迷信の類を一切排除して新しい日本を作る」ということを名目に暦を厳しい統制化において、好き勝手なカレンダーを作らせませんでした。神宮司庁しか発行できなくしたのです。
これまで十二直を見ては「今日は吉日!宝くじ買っちゃお!」「今日は凶日、何事も悪し〜!!!」とか一ヶ月は新月から次の新月までとかやってたのが、急に30日か31日か28日で一ヶ月となったわけです。しかもその日の吉凶もわかりません。
結婚や七五三や戌の日の帯、葬式、法要など日々の吉凶を気にして暮らしていた庶民にとってはたまったものではありません。お祝い事をしたくてもその日が凶日だったら大変です。庶民の生活は暦によって作られていて正月準備からひな祭り、七夕に年末の煤払いだって暦と一緒だったのです。
そこで生まれたのが「おばけ暦」です。

おばけといわれる理由は、官憲の目の逃れてのもぐり出版であったため、毎年発行所を変え、出没自在、編集発行人は京都市下京区鍵屋町藤の井徳兵衛とか、大阪市西区新町福永嘉兵衛といった具合に、いかにも縁起のよい名を記すが、その正体は不明、といったところから名付けられたのである。

『暦の百科事典』(暦の会/編 本の友社 1999.11)より引用

この「おばけ暦」が生まれたことによって、これまでは十二直が主流だったものが六曜が主流になりました。六曜も古くからあったのですがとてもマイナーなものだったんですね。

そしてこの「おばけ暦」の中に「三隣亡」がありました。そして先ほどの書籍にもあったように庶民の間で「建築の大凶日」として大流行したのです。

三隣亡とは:迷信か、それとも…?

三隣亡についてのお話です。迷信という言葉をよく聞きますが、三隣亡もその一つとされています。幕末から明治にかけて、特に庶民の間で信じられていたこの凶日は、その起源がはっきりしないものの、日本の六曜や十二直といった暦注と同じく、長い間にわたって人々に受け継がれてきました。ですが、これらが単なる迷信や俗信だと一蹴することはできません。なぜなら、古くから信じ続けられてきたことには、私たちが今では理解できない意味や価値が含まれていることも多いからです。また、人々が信じる力そのものが、大きな影響を持つこともあるためです。

山形県の例で見る三隣亡

特に興味深いのが山形県での三隣亡の扱いです。ここでは、寅、午、亥の年に年間を通して三隣亡があり、その期間は旧暦の立春(2月4日)から翌年の節分(2月3日)まで続きます。これを「年間三隣亡」と呼びます。なんと、これらの年には実際に建築件数が激減するというから驚きです。

しかし、湯野沢熊野神社の宮司さんによると、「三隣亡は昔は吉日だった」とのこと。今でも、年間を通じて三隣亡を気にすることなく、地鎮祭をしっかり行えば建築は問題ないとの見解を示しています。

迷信や俗信を簡単に否定することはできませんが、気になる場合はお祓いや地鎮祭をしっかり行うことが大切です。家を建てることは一生に一度の大きな出来事。不安なら、心を落ち着けるためにも、こうした儀式を行うのは良い選択かもしれませんね。

三隣亡にやってはいけないこと

三隣亡は、日本の伝統的な暦注の一つで、建築に関わる重要な作業を行うのに適さないとされる大凶日です。この日は、新たに家を建てる工事や土地を掘り起こす作業、さらには地鎮祭や棟上げなど、建築に直接関わる一切の行為を避けるべきとされています。それでは、三隣亡の日に避けるべき具体的な行動についてお話しします。

建築関連作業、棟上げ・地鎮祭・土起こし

:三隣亡の日は、火災を引き起こし近隣の家々に被害を及ぼす可能性があるため、棟上げ・地鎮祭・土起こしといった建築関連作業は避けるべきです。

家のローン契約

建築関連のローン契約もこの日には避けた方が良いとされています。最近は吉日を選ぶ習慣が薄れていますが、個人的な安心のためにも他の日にするのが賢明です。

引越し

建築関連の作業ではないため、基本的には三隣亡の日に引越しをしても問題ありません。しかし引っ越しの日は建築したものに引っ越すので、気にする方も多いです。避けられるなら避けましょう。

土いじり、ガーデニング

建築に関わらない土いじり、たとえばガーデニングは問題ありません。問題となるのは家の新築や修繕に伴う土いじりです。

お墓の建立や大規模な修繕

お墓の建立や大規模な修繕は避けた方が良いです。

三隣亡にやっても問題ないこと

墓参りと埋葬

三隣亡の日に墓参りをすること自体に問題はありません。ただし、お墓の建立や大規模な修繕は避けた方が良いでしょう。

納車

三隣亡は建築関係の凶日であり、車の納車には影響しません。気になる場合は日付を変更することで、気持ちが晴れるかもしれません。

結婚式・入籍などのお祝い事

「これからの人生を建てていく」という意味合いで、結婚や入籍をこの日に避ける人もいます。特別な理由がない限り、他の日にスケジュールを設定することをおすすめします。

三隣亡の日には、建築に関する重要な行事や契約を避けることが推奨されています。ただし、それ以外の活動については、大きな影響はないと考えられます。不安を感じる場合には、日程を変更するなどして、安心できる対策をとると良いでしょう。

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