夏の終わりを感じる「処暑」の時期。この記事では、処暑とは何か、2024年の処暑の日付、処暑を彩る七十二候、さらに処暑の過ごし方や歳時記について深掘りします。
「処暑(しょしょ)」とは何か?
「処暑」の「処」は止まる、という意味。これは暑さが落ち着く時期を示しています。『暦便欄』には、「陽気とどまりて、初めて退きやまむとすればなり」と記されています。残暑はまだ厳しいものの、夏の強い太陽の勢いは少し鎮まり、過ごしやすい朝晩が訪れます。しかし、台風のシーズンでもあるので、天気の変わりやすさには注意が必要です。
処暑の期間2025年はいつからいつまで?
2025年の「処暑」は、8月23日から9月6日まで。この期間は太陽の動きに合わせて毎年微妙に変動します。処暑の次の節気は「白露」、前の節気は「立秋」となります。
処暑のスピリチュアル――季節の転換点で心を整える
処暑(しょしょ)は、夏の暑さが落ち着き始める頃とされます。まだ暑い日が続くものの、朝晩には涼しい風が吹き、空や雲の様子にも少しずつ秋の気配が感じられます。この時期は、自然界も人の心も「切り替え」「リセット」がテーマになります。
スピリチュアルの視点で見ると、処暑は「浄化」と「新しいスタート」のタイミングです。
夏の間に溜まった疲れや不要な感情、いらない習慣を手放して、心身をリフレッシュするチャンス。自然の変化に合わせて、自分自身も一度立ち止まり、いらないものを手放してみましょう。
たとえば、
- 身の回りの整理整頓や掃除をして運気をリセットする
- 自然の中で深呼吸し、いらない気持ちを風に流すイメージでリフレッシュする
- 旬の野菜や果物を食べて、自然界の新しいエネルギーを体に取り込む
こうした行動を意識すると、心も体も軽やかになります。
また、処暑の頃は、これから迎える秋の「実り」や「豊かさ」を受け取る準備期間でもあります。自分の気持ちや目標を整理し、「これからどうなりたいか」をノートに書き出してみるのもおすすめです。新しい挑戦や夢に向けて、自然の流れと自分自身の流れを重ねることで、スムーズに前進しやすくなります。
処暑のスピリチュアルなメッセージは、「いらないものを手放し、心身を整えて新しい流れを受け入れる」こと。
無理をせず、今の自分を受け入れながら、次の季節のステージへと自然体で進んでいきましょう。
心の変化に気をつけて
日が短くなり、夜が長くなるこの時期、一年中で最も活発だった夏の終わりとともに、人々の気持ちも変化します。日照時間が減少することで、気持ちが沈んでしまう人も多いでしょう。また、台風などの気象変動が起こりやすいこの時期、長雨なども心の動揺をもたらす要因となるかもしれません。
自分のペースで過ごす秋の訪れ
しかし、そのような気持ちの変化の中でも、自分自身を大切にし、無理せず、自分らしいペースで生活することが大切です。夏のような高いテンションで常に活動的であることが必要ではありません。処暑のこの時期、自分の心と身体を大切にし、新しい季節を迎える準備をしてみませんか。
「処暑の候」――季語としての処暑と手紙の挨拶
「処暑の候(しょしょのこう)」は、俳句や短歌、手紙の書き出しなどで使われる夏の終わりを告げる季語です。
「候(こう)」は「時候」「季節」という意味で、「処暑の候」とは「処暑という時期にあたって」といった意味になります。
手紙の挨拶文としての使い方
日本では季節の移ろいを大切にし、手紙の冒頭でその時期ならではの挨拶(時候の挨拶)を使うのが礼儀とされています。処暑の時期(8月23日ごろから9月上旬ごろ)には、
- 「処暑の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか。」
- 「処暑の候、朝夕は少しずつ涼しくなってまいりました。」
- 「処暑の候、夏の疲れが出やすい頃となりました。」
といった形で用いられます。
このような挨拶文を使うことで、相手に季節感や心配りがしっかり伝わります。
季語としての処暑
俳句や短歌では、「処暑」自体が夏から秋への移ろいを表す季語として使われます。
- 「処暑の空」
- 「処暑の風」
- 「処暑の雲」 などと詠むことで、夏の暑さがやや和らぎ、秋の気配が感じられる時期を情緒豊かに表現できます。
また、処暑の時期に使われる俳句の季語には、次のようなものもあります。
- 処暑(しょしょ)
- 新涼(しんりょう)(新しい涼しさ、秋の始まりを感じさせる涼気)
- 涼し(すずし、すずしや)
- 秋の声(虫の音など、秋の訪れを感じさせる音)
- 朝の露
- 残暑(ざんしょ、夏の名残の暑さ)
- 稲の花
- 初秋
こうした季語を使うことで、その時期ならではの空気や、自然の変化を俳句に込めることができます。
処暑の七十二候
二十四節気のひとつとして、毎年8月23日頃に処暑を迎えます。「処暑の候」は毎年8月23日頃から9月6日頃までの期間を指し、この時期のあいさつとして「処暑の時期ですが」と使われます。
この処暑の七十二候です。
処暑は暑さがおさまる時期を指し、暑さの峠を越すころのことを示します。
初侯:綿柎開(わたのはなしべひらく/8月23日頃)
「綿柎開」とは、綿の花が咲き終わり、実を包んでいたガク(萼=はなしべ)が開き始める時期です。ガクが開くと、ふわふわの白い綿が姿を見せます。
実りや秋の到来のサインとなる候であり、自然界では夏から秋への静かなバトンタッチが進んでいきます。
次侯:天地始粛(てんちはじめてさむし/8月28日頃)
「天地始粛」は、“天地(空と大地)が初めて粛然とする”という意味。
暑さが和らぎ始め、空気や大地が静かに冷たさを帯びてくる時期です。
日中はまだ暑さが残っていても、朝夕には涼しい風が感じられるようになり、季節の移ろいを肌で感じられます。
末侯:禾乃登(こくものすなわちみのる/9月3日頃)
「禾乃登」とは、“禾(のぎ=イネ科の植物)が実る”という意味です。
田んぼの稲が実り、収穫の季節が始まります。
これまで大切に育ててきた作物が豊かに実り、感謝の気持ちが自然と湧いてくる時期でもあります。秋の実りと収穫の喜びを感じる候です。
処暑にやること
処暑の時期は、夏の暑さが次第に落ち着き始め、自然も暮らしも秋の準備に入るタイミングです。この時期ならではの習慣や行事、心がけたいことを紹介します。
- 1. 夏の疲れを癒すセルフケア
まだ日中は暑い日が多いですが、朝夕は少し涼しくなってきます。夏の疲れが出やすいので、しっかりと睡眠や休息をとり、体調を整えることが大切です。旬の野菜や果物を積極的に食べ、体を内側からリセットしましょう。 - 2. 田畑の見回りや秋の収穫準備
この時期は稲が実り始め、農家では収穫に向けた準備が本格化します。田んぼの見回りや、実った稲を眺めるのも季節感を味わう良い機会です。 - 3. 残暑見舞いや季節の挨拶
処暑を迎える頃には、暑中見舞いから「残暑見舞い」へと挨拶状を切り替えます。大切な人へ体調を気遣う言葉を添えることで、心のご縁も深まります。 - 4. 虫干しや掃除で運気リセット
湿気が多い夏を越え、晴れた日には衣類や本の虫干し、部屋の大掃除をするのもおすすめです。身の回りを整えることで、心もすっきりと新しい季節を迎えやすくなります。 - 5. 地域の行事やお祭り
地域によっては、この時期にお地蔵さんのお祭り(地蔵盆)や、農作物の実りを祝う行事が行われることもあります。ご先祖や自然への感謝を込めて、家族や地域と季節のイベントを楽しむのも良いでしょう。 - 6. 秋の始まりを感じる自然散策
稲穂が実る田んぼや、虫の音が変わる野原、秋の花が咲き始める庭など、身近な自然に目を向けるのもおすすめです。五感で季節の移ろいを味わい、心をリセットしましょう。
二百十日と台風の警戒
処暑は台風の活発な時期でもあります。特に、「二百十日」(2023年は9月1日)は台風を警戒する重要な日で、古くから農家の三大厄日として知られています。「おわら風の盆」のように、風を鎮める祭が各地で行われています。
9月1日「防災の日」
9月1日は「防災の日」としても知られ、1923年に発生した関東大震災の慰霊と防災意識の向上を目的としています。この日には避難訓練や防災用品の点検を行うことが推奨されています。 ▷9月1日「防災の日」の由来、雑節「二百十日」、風祭りとの関係
夏のお手入れと収納
夏の帽子や浴衣の季節も終わりを迎えます。次のシーズンに向けてのお手入れや収納方法を学ぶことで、品物を長持ちさせることができます。
処暑が旬の食べ物
処暑の頃は、夏から秋への移り変わりを感じさせる旬の食材がたくさんあります。この時期ならではの野菜や果物、魚を食卓に取り入れることで、体調を整え、運気もリフレッシュできます。
〈野菜〉
- なす
- きゅうり
- トマト
- ピーマン
- オクラ
- ゴーヤ
- とうもろこし
- 枝豆
- みょうが
- かぼちゃ
- しそ
これらの夏野菜は、まだまだ美味しいタイミング。水分やミネラルが豊富で、暑さで疲れた体を整えてくれます。特に、なすやきゅうり、トマトなどは体の熱を冷ます働きがあり、夏バテ予防にも効果的です。
〈果物〉
- ぶどう
- いちじく
- 梨
- 桃
- スイカ
ぶどうやいちじく、梨などの初秋の果物も出始めます。みずみずしい果物はビタミンや水分補給に最適です。
〈魚介類〉
- あじ
- いわし
- さば
- さんま(早いものは出回る)
- かます
- はも
- うなぎ
魚も脂がのって美味しい時期です。夏バテ防止や体力回復にも役立つ良質なたんぱく源となります。
このような旬の食材を味わうことで、自然のリズムに体を合わせ、心も体も元気に秋を迎える準備ができます。
季節の恵みをしっかりいただいて、処暑を健やかに過ごしましょう。
処暑の花
処暑の頃は、夏から秋への変わり目を彩る花が見頃を迎えます。この時期に咲く花は、季節の移ろいとともに「実り」「再生」「感謝」など、さまざまなスピリチュアルなメッセージも運んでくれます。
代表的な処暑の花には、以下のようなものがあります。
- 百日紅(さるすべり)
鮮やかなピンクや白、赤の花が、夏の終わりから秋にかけて長く咲き続けます。「粘り強さ」「持続」「生命力」の象徴で、見る人に元気を与えてくれる花です。 - 芙蓉(ふよう)
一日花として、朝咲いて夕方にはしぼむ特徴を持ちますが、次々と新しい花が咲く姿から「再生」や「新たな始まり」のスピリチュアルな意味が込められています。 - 萩(はぎ)
秋の七草のひとつ。可憐な花が風に揺れる様子は「ご縁」や「感謝」「謙虚さ」の象徴とされ、秋の訪れを告げます。 - 朝顔(あさがお)
夏の花のイメージが強いですが、処暑の頃まで涼しげに咲きます。「希望」「はじまり」「純粋さ」を表し、夏から秋への気持ちの切り替えをサポートしてくれます。 - 木槿(むくげ)
朝に咲いて夕方にはしぼむ一日花でありながら、次々と咲き続ける強さがあり、「忍耐」「信念」「永遠の愛」などの意味も込められています。 - 女郎花(おみなえし)
黄色い小さな花が集まって咲く姿は、秋の始まりを感じさせ、「美しさ」「優しさ」の象徴です。
これらの花々は、季節の移ろいを知らせてくれるだけでなく、心を穏やかに整えたり、前向きな気持ちを後押ししてくれるパワーも持っています。
処暑の時期は、こうした花を身近で眺めたり、飾ったりして、自然のエネルギーを感じてみましょう。
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