七夕は、織姫と彦星が年に一度だけ会えるロマンチックな日として知られています。短冊に願い事を書き、笹に飾る明るい行事のイメージが強いですよね。
けれど、七夕の由来をたどると、少し怖い話も出てきます。愛し合う二人が天の川で引き離される話、そうめんが「鬼の腹わた」と呼ばれる話、七夕飾りを水に流して厄を払う風習など、七夕には明るい願い事だけではない一面があります。
ただし、七夕は不吉な日という意味ではありません。怖い由来があるというより、昔の人が、病気、災い、別れ、季節の変わり目への不安を、行事や食べ物、願い事に込めて乗り越えようとしてきた日です。
この記事では、七夕の怖い由来、乞巧奠、織姫と彦星の悲恋、そうめんと鬼の腹わた、七夕流しと厄払いの意味をわかりやすく紹介します。
七夕の意味や過ごし方、おまじないをまとめて見る
七夕の由来、スピリチュアルな意味、願い事、恋愛のおまじない、待ち受け、雨の日の言い伝えまで全体を知りたい方は、七夕のスピリチュアルな意味と過ごし方をご覧ください。
七夕の由来は怖い?まず結論
七夕の由来が怖いと言われる理由は、主に三つあります。
- 織姫と彦星が、愛し合っているのに引き離される話だから
- 七夕に食べるそうめんが、「鬼の腹わた」と結びつけて語られることがあるから
- 七夕には、厄や穢れを水に流す風習があったから
この三つだけを見ると、七夕は少し怖い行事に感じるかもしれません。
でも、七夕の本当の意味は、怖がることではありません。別れや災い、病を恐れる気持ちを、願い事や祈り、食べ物、飾りに込めて、よい方向へ整えていく日です。
七夕は、恋愛の願い事だけでなく、芸事の上達、健康、厄払い、家族の幸せ、心の整理とも関係の深い行事なのです。
七夕の由来と乞巧奠
七夕の由来を知るうえで大切なのが、中国から伝わった「乞巧奠」です。乞巧奠は「きこうでん」または「きっこうでん」と読みます。
乞巧奠は七夕行事のもとになった中国の行事
乞巧奠は、7月7日の夜に、織女星にあやかって裁縫や機織り、手芸、書、芸事の上達を願う行事です。
七夕というと、今は恋愛や願い事のイメージが強いですが、もともとは「技が上手くなりますように」「文字や芸事が上達しますように」という願いとも深く結びついていました。
そのため、七夕の短冊には、恋愛だけでなく、勉強、仕事、習い事、芸事、手仕事の願いを書くのも自然です。
織姫と彦星、牽牛と織女の物語
七夕の物語には、牽牛と織女、つまり日本でいう彦星と織姫の伝説があります。
織姫は機織りが上手な姫で、彦星は牛を飼う働き者の青年として語られます。二人は結婚しますが、恋に夢中になるあまり、仕事をしなくなってしまいます。
それを怒った天帝は、二人を天の川の両岸に引き離しました。そして、年に一度、7月7日の夜だけ会うことを許したといわれています。
この話は、恋人たちの再会の物語として読むこともできますが、同時に「愛し合っている二人が離れ離れにされる話」でもあります。ここに、七夕が怖い、切ないと言われる理由があります。
日本では棚機津女や願い事の風習と重なった
日本の七夕は、中国の乞巧奠だけでなく、日本に古くからあった棚機津女の信仰や、水辺で穢れを払う風習などとも重なって発展したと考えられています。
棚機津女は、水辺の機屋で神に捧げる布を織る女性のこととして語られます。そこに、織姫の機織りの物語、七夕の星の伝説、短冊に願いを書く風習が重なって、今の七夕の形に近づいていきました。
つまり七夕は、ただの恋愛行事ではありません。星、機織り、水、祈り、技芸、厄払いが重なった、かなり深い行事なのです。
七夕の怖い由来、恋人が引き離された悲恋の日
七夕の怖い由来として、まず挙げられるのが、織姫と彦星の物語です。
一般的には「年に一度だけ会えるロマンチックな日」として語られますが、見方を変えると、これはかなり切ない話です。
織姫と彦星はなぜ年に一度しか会えないのか
織姫と彦星は、結婚してからお互いに夢中になり、仕事をしなくなってしまったとされます。
織姫は機を織らず、彦星は牛の世話をしなくなりました。天の秩序が乱れたことに怒った天帝は、二人を天の川の両側に引き離してしまいます。
その後、悲しみに暮れる二人を見て、天帝は一年に一度、7月7日の夜だけ会うことを許したと伝えられます。
この物語には、「恋に夢中になりすぎると、大切な役目を忘れてしまう」という戒めの意味もあります。
ロマンチックだけど、見方を変えると切ない話
織姫と彦星は、深く愛し合っていたからこそ、離れ離れになったあとも悲しみ続けます。
一年に一度会えるという話は美しいですが、同時に、年に一度しか会えないという残酷さもあります。
七夕が怖いと言われるのは、血なまぐさい話だからではなく、愛し合っているのに引き離される、会いたいのに会えないという悲恋の部分があるからでしょう。
恋愛で読むなら、七夕は「必ず結ばれる日」というより、距離やすれ違いがある関係を見つめ直す日でもあります。
七夕の怖い由来、そうめんは鬼の腹わた?
七夕の怖い由来として、もう一つ有名なのが、そうめんにまつわる話です。
七夕の行事食といえばそうめんですが、このそうめんが「鬼の腹わた」と呼ばれることがあります。名前だけ聞くと、かなり怖いですよね。
七夕のそうめんのもとは索餅
七夕にそうめんを食べる風習は、中国から伝わった「索餅」と関係があるとされています。
索餅は、小麦粉などを練り、縄のように細長くねじって作る食べ物です。日本には奈良時代ごろに伝わったとされ、のちにそうめんの原型のように説明されることがあります。
七夕に細く長いそうめんを食べるのは、織姫の織り糸や天の川に見立てる意味もあります。また、健康や長寿、無病息災を願う食べ物としても親しまれています。
病を避けるために食べたという言い伝え
索餅には、病よけの言い伝えもあります。
昔、中国で7月7日に亡くなった子どもが、死後に鬼となって熱病を流行らせたため、その子の好物だった索餅を供えて鎮め、病を避けるために食べるようになった、という話が伝えられています。
この話から、七夕に索餅を食べることは、ただの行事食ではなく、厄払いや病よけの意味を持つようになったと考えられます。
現代のそうめんは、涼しく食べやすい夏の食べ物という印象が強いですが、由来をたどると、病を避ける願いも込められているのです。
鬼の腹わたと呼ばれる理由
索餅やそうめんが「鬼の腹わた」と呼ばれるのは、細長い形が腹わたのように見えることや、鬼にまつわる病よけの故事と結びついたためと考えられます。
「鬼の腹わた」と聞くと不気味ですが、意味としては怖がらせるためではなく、鬼や病を退けるために食べるものという厄払いの要素が強いです。
七夕にそうめんを食べるときは、「怖い食べ物」としてではなく、夏を元気に過ごすための行事食、厄を払う食べ物として受け止めるとよいでしょう。
七夕は厄払いの日でもある
七夕は、恋愛や願い事の日であると同時に、厄払いの意味を持つ日でもあります。
七夕は五節句の一つに数えられます。五節句は、季節の節目にあたる日で、昔から無病息災や厄払い、季節の変わり目を無事に越えるための行事と結びついてきました。
七夕は五節句のひとつ
五節句には、人日の節句、上巳の節句、端午の節句、七夕の節句、重陽の節句があります。
七夕は、その中の一つで、7月7日の節句です。七夕の「七」が重なる日には、願い事だけでなく、災いを祓い、次の季節へ向かう意味も込められていました。
だからこそ、七夕には短冊や笹飾り、そうめん、星への祈りなど、さまざまな形で願いや厄払いが重ねられてきたのです。
七夕流し・七夕送りと水に流す風習
七夕には、飾りや笹を川や海に流す「七夕流し」「七夕送り」と呼ばれる風習があったとされます。
これは、願いを天へ送る意味とともに、穢れや厄を水に流す意味を持つものとして語られます。ひな祭りの流し雛のように、人の災いや穢れを形代に移し、水に流す考え方と近いところがあります。
ここにも、七夕がただの楽しいお祭りではなく、災いを遠ざける行事だったことが見えてきます。
現代では川や海に流さず安全に処分する
昔は七夕飾りを川や海に流す風習がありましたが、現代ではそのまま行うのは避けたほうがよいです。
短冊、笹、折り紙、人形、飾りなどを川や海に流すと、環境への負担や地域の迷惑になることがあります。神社やお寺でお焚き上げをしてもらえる場合もありますが、いつでも受け付けているとは限りません。事前に確認しましょう。
家庭で処分する場合は、短冊や飾りにお礼を伝え、白い紙や袋に包んでから、自治体の分別に合わせて処分するとよいでしょう。
七夕流しの意味を大切にしたい場合は、実際に川へ流すのではなく、「厄を手放す」と心の中で決めてから処分するだけでも十分です。
七夕の本当の意味は怖いだけではない
七夕の由来には、たしかに怖いと感じる話があります。
織姫と彦星は愛し合っているのに引き離されます。そうめんには鬼の腹わたという不思議な呼び方があります。七夕飾りには、厄や穢れを流す意味もあります。
けれど、それは七夕が不吉な日だからではありません。
昔の人にとって、季節の変わり目は体調を崩しやすく、病気や災いへの不安が強い時期でもありました。だからこそ、七夕には、願い事、星への祈り、そうめん、笹飾り、水に流す風習などを通して、無事に過ごせるように願う意味が込められていたのです。
七夕の怖い由来を知ると、短冊に願いを書くことや、そうめんを食べることも、少し違って見えてきます。
ただ楽しいだけではなく、願い、厄払い、再会、祈りが重なった日。それが七夕の深い意味です。
子どもに七夕の怖い由来を説明するなら
子どもに七夕の由来を説明するときは、「怖い話」として強く伝えすぎる必要はありません。
たとえば、次のように話すとわかりやすいです。
- 七夕は、織姫と彦星が年に一度だけ会える日
- 昔の人は、病気や悪いことが来ないように願っていた
- そうめんは、元気に夏を過ごすための食べ物として食べられてきた
- 短冊には、自分ががんばりたいことや叶えたいことを書く
- 七夕飾りは、今は川に流さず、ありがとうと言って片付ける
「鬼の腹わた」という言葉を使う場合も、怖がらせるより、「昔は病気を追い払うための言い伝えがあったんだよ」と説明するとよいでしょう。
七夕の由来は、怖がるためではなく、昔の人がどうやって願いや厄払いを大切にしてきたかを知るためのものです。
七夕の怖い由来を知ったあとにおすすめの記事
七夕の怖い由来を知ると、願い事やおまじない、雨の日の意味も少し深く感じられるようになります。
七夕全体の意味や過ごし方を知りたい方は、こちらの親ページを読んでみてください。
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七夕は、ロマンチックなだけの日ではありません。悲恋、厄払い、鬼の言い伝え、健康への願い、星への祈りが重なった、奥深い行事です。怖い由来を知ったうえで短冊を書いたり、そうめんを食べたりすると、七夕の夜が少し特別に感じられるはずです。



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