「未女は門にも立たすな」「未男は床の間に飾れ」という俗信を聞いたことがある方もいるでしょう。これは「未年生まれは紙食うから金食い虫」という諺と同じです。
この「未女は門にも立たすな」「未男は床の間に飾れ」とはどういう意味なのかについてです。
未年の女は門にも立たすな
「未年の女は門にも立たすな」という言葉は、古くからある日本の迷信の一つで、未年生まれの女性に対する一般的なイメージを示しています。この言葉の直訳は、「未年生まれの女性は強気で気が強いため、家の外に出さないほうがいい」という意味です。
日本の「丙午生まれの女」という迷信と同じですね。他にも未年の女性に関するさまざまな迷信が目につきます。「未年の女は男を七人半喰い殺す」や「未年の女は運が悪い」といった言い伝えは、未年の女性の強さや気性の荒さを強調しています。
中国では未年生まれにならないようにしている
この未年生まれの女性を避ける俗信は中国から来ているようです。
中国には、「羊(未)年生まれの女性の運命が悲惨で、そのような女性と結婚するのは避けるべき」という古くからの俗信が存在します。この俗信の正確な由来については、学界でも一致した見解は存在しないようです。
一般的にはこの俗信は言葉遊びや語呂合わせが影響していると言われています。具体的には、古典文献『易・説卦』にある「相揚(yang)四白」という言葉が「相羊(yang)四白」、つまり「羊と関連する不吉な出来事」にかかるという語呂合わせが行われたとされています。また、「紅(hong)羊劫」という言葉も「婚(hun)羊劫」、つまり「羊年生まれとの結婚は不吉」という意味に変わるという語呂合わせが存在すると指摘されています。
要するに、中国の文化や言葉の中には、語呂合わせを通じてさまざまな意味や解釈が生まれることが多く、これが長い歴史の中で一般的な俗信として広まった可能性があると言えるでしょう。
十羊九不全、一人坐殿前
中国には「十羊九不全、一人坐殿前」という言葉があります。これは「未年生まれの人十人で九人は悲惨な人生を辿り、幸福に恵まれる人は一人しかいない」という民間で流行している俗語です。この迷信を真に受ける人は少なくなってきていますが、親としては、子供に幸せな生涯を送ってほしいと強く願うもの…そのため、中国では未年を避け、午年に子供を持つために帝王切開で出産を急ぐケースが増加し、2014年の午年には出産数が多くなりました。
また、未年の女性と結婚すると夫を食い殺す、未年に結婚すると悪いことが起きるといった俗信「婚羊劫」もあり、未年はかなり避けられています。
未年生まれは紙食う金食い虫
日本では他にも「未年生まれは紙食う金食い虫」という俗信もあります。
これも未というといつももぐもぐ口を動かしているイメージから来ています。紙=紙幣を食べる、なんでももぐもぐ食べる=金遣いが荒い…となったとか。
未男は床の間に飾れ
これまではとにかく女性にばかり不利な諺でしたが、男性の未年生まれにも「未男は床の間に飾れ」という俗信があります。
羊はその姿から、平和でおとなしい動物としてのイメージが強いですが、一方で常に草をかじっている様子から「むしゃむしゃと食べる」という性格を持つ生き物とも見られます。この特性を人間の性格になぞらえて解釈すると、羊年生まれの人は「外に出すと食い尽くす」という意味になります。
なんでも食い尽くすから、動かないようにじっと飾っておけば損害が少ない、という意味なんだそうです。
未年生まれの人は、一般的に「社交的」「愛される性格」「楽しむことを知っている」とされることが多いです。このような性格のため、交際費が多くなったり、人間関係を築く上での出費を惜しまない傾向があります。また、感受性が豊かで新しいものに興味を持ちやすく、それが購買欲を刺激することもあるかもしれません。
さらに、未年生まれの人は、大らかで慎重さに欠けることがあるとも言われています。これが、計画的な金銭管理を怠る結果となり、金遣いが荒くなる一因とも。
優しくておおらかな未年ですが、こんな俗信もあるんですね!
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