重陽の節句の飾りには菊の花と茱萸袋|読み方・意味・魔除けの由来
9月9日の重陽の節句(ちょうようのせっく)は、五節句のひとつです。別名は菊の節句。菊を飾り、菊酒や菊茶をいただき、無病息災や長寿を願う日として知られています。
重陽の節句の飾りといえば菊の花が有名ですが、もうひとつ知っておきたいものがあります。それが茱萸袋です。
茱萸袋は、ぐみぶくろ、またはしゅゆぶくろ、しゅゆのうなどと読まれます。赤い実や香りのある実を袋に入れ、菊とともに飾ったり身につけたりして、邪気払い、魔除け、長寿を願ったとされる重陽の節句の飾りです。
この記事では、重陽の節句に飾る菊の花と茱萸袋の意味、茱萸袋の読み方、由来、現代での飾り方をわかりやすく紹介します。
茱萸袋とは?読み方は「ぐみぶくろ」「しゅゆのう」
茱萸袋は、重陽の節句に邪気払いと長寿を願って飾られた袋飾りです。
読み方はいくつかあり、一般的には次のように読まれます。
- ぐみぶくろ
- しゅゆぶくろ
- しゅゆのう
- しゅゆのふくろ
漢字では、茱萸袋のほかに、茱萸嚢と書かれることもあります。「嚢」は袋という意味です。
茱萸袋は、香りの強い実を袋に入れて、身につけたり、柱や室内に掛けたりした魔除けの飾りです。重陽の節句に菊酒を飲み、茱萸袋を身につけて災いを避けたという中国の故事が日本にも伝わり、宮中行事や節句飾りと結びついていきました。
現代では、実際に呉茱萸を入れた袋というより、菊や赤い実をあしらった季節の飾りとして楽しまれることが多くなっています。
重陽の節句とは?菊と長寿を願う9月9日の節句
重陽の節句は、毎年9月9日に行われる五節句のひとつです。
古くから、奇数は陽の数とされました。その中でも9は、ひと桁の奇数の中で最も大きい数字です。その9が月と日に重なる9月9日は、陽の気が重なる日として「重陽」と呼ばれるようになりました。
ただし、陽の気が強くなりすぎると、かえってバランスを崩すとも考えられていました。そのため、重陽の節句には菊や茱萸袋を用いて邪気を払い、無病息災や長寿を願ったのです。
重陽の節句全体の意味や2026年の開運アクションについては、2026年9月9日重陽の節句|菊で邪気払いする開運日で詳しく紹介しています。
重陽の節句は菊の節句
重陽の節句は、菊の節句とも呼ばれます。
菊は、古くから長寿や邪気払いを象徴する花とされてきました。重陽の節句には菊を飾り、菊酒を飲み、菊の香りを移した綿で体を清める「着せ綿」などの風習がありました。
菊は、単なる秋の花ではありません。重陽の節句では、悪い気を払い、命を健やかに保つ花として大切にされてきたのです。
菊の節句と呼ばれる理由を詳しく知りたい方は、重陽の節句が菊の節句と言われるのはなぜ?菊は長寿と邪気払いも参考にしてください。
茱萸袋の由来|中国の故事と魔除けの意味
茱萸袋の由来には、中国の重陽の風習が関係しています。
中国では、9月9日に高い場所へ登り、茱萸の実を身につけ、菊酒を飲むことで災いを避けるという故事が伝えられています。茱萸は香りの強い植物で、その香りや赤い実に魔除けの力があると考えられていました。
この風習が日本に伝わり、重陽の節句に茱萸袋を飾る習わしとなりました。平安時代の宮中では、菊酒を飲み、菊の着せ綿を楽しみ、茱萸袋を飾って延命長寿を願ったとされています。
茱萸袋は、いわば重陽の節句のお守りです。赤い袋や赤い実の色、香りの力、菊の花の清らかさを組み合わせて、家や人を災いから守る意味を持っていました。
茱萸とは何?グミの実とは少し違う?
茱萸袋を説明するときに注意したいのが、茱萸という言葉です。
茱萸は「ぐみ」とも読みますが、重陽の節句の茱萸袋で本来関係が深いのは、香りの強い呉茱萸(ごしゅゆ)とされます。呉茱萸は、漢方などでも知られるミカン科の植物です。
一方、日本では呉茱萸が一般的ではなかったため、山茱萸や茱萸、つまり赤い実をつける植物が飾りに用いられるようになったと考えられています。そのため、茱萸袋は「ぐみぶくろ」とも呼ばれるようになりました。
つまり、現代の感覚で「茱萸袋=普通のグミの実を入れた袋」と単純に考えるより、香りの強い実や赤い実を用いた、重陽の節句の魔除け飾りと理解するのが自然です。
重陽の節句に茱萸袋を飾る意味
茱萸袋には、主に次のような意味があります。
- 邪気払い:季節の変わり目に悪い気を遠ざける
- 魔除け:家や身を災いから守る
- 無病息災:健康に秋を過ごすことを願う
- 長寿祈願:菊とともに延命長寿を願う
- 季節のしつらえ:秋の節句を暮らしに取り入れる
重陽の節句は、陽の気が強くなる日とされます。強い気をそのまま受けるのではなく、菊や茱萸袋で整え、穏やかな運気に変えていく。そこに茱萸袋の大きな意味があります。
「重陽の節句は不吉なの?」と気になる方は、重陽の節句は不吉?9月9日が怖いと言われる理由と本当の縁起もあわせて読んでみてください。
重陽の節句の飾りは菊の花と茱萸袋
重陽の節句の飾りとして取り入れやすいのは、菊の花と茱萸袋です。
菊は長寿と邪気払いの花。茱萸袋は魔除けと無病息災の飾り。このふたつを組み合わせることで、重陽の節句らしい意味がぐっと深まります。
菊の花を飾る意味
菊の花には、長寿、浄化、邪気払い、気品という意味があります。
玄関に菊を飾れば、外から入る気を整える意味になります。リビングに飾れば、家族が集まる場所の空気を明るくしてくれます。寝室に飾れば、眠る前の心を落ち着かせる助けになります。
大きな花束でなくても、一輪の菊で十分です。白や黄色の菊を選ぶと、重陽の節句らしい清らかさが出ます。
茱萸袋を飾る意味
茱萸袋は、魔除けと健康祈願の飾りです。
昔は、身につけたり、柱や帳に掛けたりして災いを避けたとされます。現代の暮らしでは、玄関、床の間、リビングの一角、季節の飾り棚などに置くと取り入れやすいでしょう。
茱萸袋を飾るときは、「悪いものが来ませんように」と怖がるよりも、「この家が穏やかに守られますように」と静かに願うのがおすすめです。
茱萸袋はどこに飾る?現代の飾り方
現代の住宅で茱萸袋を飾るなら、次の場所がおすすめです。
- 玄関:外から入る気を整え、魔除けの意味を込める
- リビング:家族が集まる場所の無病息災を願う
- 床の間や飾り棚:季節のしつらえとして美しく見せる
- 寝室:休息と健康を願う
- 仕事机の近く:心を落ち着かせ、厄を寄せにくくする
壁に掛けるタイプの茱萸袋なら、目線より少し高い位置に飾ると美しく見えます。置き飾りの場合は、小さな菊の花や秋の実ものと一緒に飾ると、重陽の節句らしい雰囲気になります。
いつからいつまで飾る?
重陽の節句の飾りは、9月9日の少し前から飾るとよいでしょう。
目安としては、9月に入ってから重陽の節句当日まで、または9月いっぱいまでです。旧暦の重陽を意識するなら、10月頃まで秋の飾りとして楽しんでも自然です。
飾り終えたあとは、ほこりを払って丁寧にしまいましょう。魔除けの意味を持つ飾りなので、乱雑に扱うより、感謝して片づける方が気持ちよく次の季節へ移れます。
茱萸袋の色とデザインの意味
茱萸袋には、赤や緋色の袋、菊の花、赤い実、水引、房飾りなどが使われることがあります。
赤は、昔から魔除けや生命力を象徴する色として扱われてきました。菊は長寿と邪気払い、赤い実は災いを避ける力や秋の実りを連想させます。
現代の茱萸袋は、伝統的な赤い袋だけでなく、水引細工や布飾り、モダンな色合いのインテリア飾りとして作られるものもあります。和室だけでなく、洋室や玄関の小さなスペースにも飾りやすくなっています。
大切なのは、豪華さよりも意味です。小さな飾りでも、「重陽の節句に家族の健康を願う」「秋の始まりに家を清める」という気持ちがあれば、十分に美しいしつらえになります。
茱萸袋を購入するならどこで探す?
茱萸袋は、一般的な季節飾りとしてはまだ珍しいものです。店頭で見つけにくい場合は、和雑貨店、節句飾りの専門店、ハンドメイド作品、京都の年中行事に関わる工芸品などを探してみるとよいでしょう。
元文でも紹介していたように、和工房 包結のような水引や和飾りの工房では、重陽の節句に合わせた菊や茱萸袋をモチーフにした飾りが扱われることがあります。
購入するときは、次の点を確認すると安心です。
- 茱萸袋、茱萸嚢、ぐみぶくろ、しゅゆのうなどの表記があるか
- 重陽の節句用の飾りとして説明されているか
- 菊や赤い実のモチーフが入っているか
- 玄関や室内に飾りやすいサイズか
- 保管方法がわかりやすいか
なお、販売状況やデザインは時期によって変わります。重陽の節句直前は在庫が少なくなることもあるため、飾りたい場合は早めに探しておくとよいでしょう。
茱萸袋を手作りすることはできる?
本格的な茱萸袋を作るには、由来や素材を理解したうえで丁寧に作る必要があります。
ただし、現代の暮らしに合わせた簡単な季節飾りとしてなら、手作りすることもできます。
- 赤やえんじ色の小さな布袋を用意する
- 赤い実ものや菊の造花を添える
- 水引や房飾りで結ぶ
- 玄関や飾り棚に置く
実際の呉茱萸や茱萸の実を用意できなくても、赤い実の飾りや菊のモチーフを使えば、重陽の節句らしい雰囲気は出せます。
ただし、伝統行事として厳密に再現したい場合は、茱萸袋や茱萸嚢を扱う専門店・工房の作品を参考にするのがおすすめです。
重陽の節句に茱萸袋を飾るときの注意点
茱萸袋は美しい飾りですが、いくつか気をつけたいこともあります。
食べ物ではなく飾りとして扱う
茱萸袋は、基本的に飾りや魔除けとして扱うものです。
中に実が入っている場合でも、食べ物として扱わないでください。観賞用、工芸品、節句飾りとして丁寧に扱いましょう。
小さな子どもやペットの手が届かない場所に置く
小さな実や飾り紐、房飾りが使われている場合があります。誤飲や破損を防ぐため、小さな子どもやペットの手が届かない場所に飾ると安心です。
湿気と直射日光を避ける
布や水引で作られた茱萸袋は、湿気や直射日光に弱い場合があります。
水回りの近くや強い日差しが当たる場所は避け、飾り終えたら乾いた布で軽くほこりを払い、通気性のよい場所に保管しましょう。
重陽の節句の飾りでよくある質問
茱萸袋の読み方は何ですか?
茱萸袋は、ぐみぶくろ、しゅゆぶくろ、しゅゆのう、しゅゆのふくろなどと読まれます。茱萸嚢と書かれることもあります。
茱萸袋とは何ですか?
茱萸袋とは、重陽の節句に邪気払い、魔除け、無病息災、長寿を願って飾られた袋飾りです。香りの強い実や赤い実を袋に入れ、菊とともに飾る風習があります。
茱萸袋には何が入っていますか?
本来は、呉茱萸など香りの強い実が関係していたとされます。日本では山茱萸や茱萸などの赤い実と結びつき、現代では実物ではなく、菊や赤い実を模した飾りとして作られることもあります。
茱萸袋はどこに飾ればいいですか?
玄関、リビング、床の間、飾り棚、寝室などがおすすめです。魔除けや無病息災の意味を込めるなら、家の入口である玄関に飾ると取り入れやすいでしょう。
茱萸袋はいつ飾りますか?
9月9日の重陽の節句に合わせて、9月に入ってから飾るとよいでしょう。旧暦の重陽を意識するなら、10月頃まで秋の飾りとして楽しんでも自然です。
重陽の節句の飾りは菊だけでもいいですか?
菊だけでも大丈夫です。菊は重陽の節句を代表する花で、長寿と邪気払いの意味があります。より専門的な節句飾りとして楽しみたい場合は、茱萸袋も取り入れると重陽らしさが深まります。
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参考にした情報
- 京都市 にしZINE|京の五節句と年中行事 重陽の節句
- 上京暮らしの文化プロジェクト|京の五節句と年中行事 重陽の節句
- 京都観光Navi|重陽の節句
- 一般社団法人 日本人形協会|重陽 菊の節句
- 日本玩具博物館|京都の重陽節 見学レポート
まとめ|茱萸袋は重陽の節句に飾る魔除けと長寿祈願のしつらえ
重陽の節句の飾りには、菊の花と茱萸袋があります。
菊は、長寿、邪気払い、無病息災を願う花。茱萸袋は、香りの強い実や赤い実を袋に入れて、魔除けや健康長寿を願う重陽の節句の飾りです。
茱萸袋の読み方は、ぐみぶくろ、しゅゆぶくろ、しゅゆのうなど。漢字では茱萸嚢と書かれることもあります。
現代では、昔ながらの形をそのまま再現するのが難しくても、菊の花を一輪飾る、赤い実を添える、茱萸袋を玄関や飾り棚に置くなど、暮らしに合った楽しみ方ができます。
重陽の節句は、怖い日ではありません。菊と茱萸袋を飾り、家の気を整え、家族の健康と長寿を静かに願う日です。今年の9月9日は、秋のしつらえとして、菊の花と茱萸袋を取り入れてみてください。



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