新しい年を迎えるにあたり、多くの家庭で正月飾りやしめ飾りを取り入れるのは日本の伝統的な風習の一つです。これらの飾りはただの装飾品ではなく、新年の祝福や家族の幸福、無病息災を願うシンボルとしての役割を果たしています。しかし、一方で「いつ飾るのが良いのか」「いつ飾ってはいけないのか」といった縁起に関する様々な説や信仰も存在しています。この記事では、そんな正月飾りを飾る日と縁起についての伝統や背景を探り、より良い新年を迎えるためのヒントをお伝えします。
正月飾りやしめ飾りを飾ってはいけない日
お正月を彩る正月飾り。家々が新年を迎える準備として、様々な飾り物を取り入れますが、いつ飾るのが縁起が良いのでしょうか。
正月飾りとは
「正月飾り」と言えば、「しめ飾り」がまず頭に浮かびますが、正月飾りはそれだけではありません。鏡餅、門松、盛り花、神棚用の榊、仏壇用の仏花、掛け軸など、家の中に飾られるもの全てを指します。
しめ縄・しめ飾りの歴史と由来
しめ縄・しめ飾りは古くから、年神様をお迎えするための飾りとして用いられてきました。元々は12月13日のすす払いが終わった後、家を清め、新しい年を迎える準備として飾られてきました。この日は「正月事始め」とも称され、正月準備のスタートラインとなっています。
大掃除の時期は人それぞれ。家庭の都合に合わせて、掃除が終わり、新しい年を迎える準備が整ったら、しめ縄・しめ飾りを飾るのが良いでしょう。多くの人はクリスマスが過ぎた25日以降から飾り始めます。
縁起を担ぐ、正月飾りやしめ飾りを飾ってはいけない日
正月飾りを飾る日には、縁起を意識した慣習があります。
- 「一夜飾り」を避ける: 31日に飾ると、それは「一夜飾り」となり、縁起が悪いとされています。神様への急ごしらえは失礼とされるため、また、急なお葬式の様にせかせかとしたものを連想させるためです。
- 「苦がつく」の避ける: 29日も避けるべき日。飾るものやお餅を「つく」という行為に、「苦がつく」という縁起の悪さが結びつけられています。ただし「ふく」と読み福を呼ぶ日とする地域もあります。
- 仏滅や不成就日を避ける：仏滅や不成就日といった凶日も避ける方がいいでしょう。
したがって、縁起を担ぐなら、28日または30日に飾るのがベストとされています。
準備の重要性
縁起の良い日に合わせて飾るためには、それ以前に正月飾りの準備をしておくことが大切です。せっかくの新年、良いスタートを切るためにも、縁起を担ぐ心構えは大切にしたいものです。
お正月の飾り付けは、家族の健康や幸せを願いながら、新しい年を迎える大切な行事です。少しの心配りと、縁起を担ぐ意識をもって、新年を迎えましょう。
正月飾り・しめ縄・しめ飾りを外す日
正月の気分を楽しんだ後、しめ飾りは「松の内」が過ぎたら外します。松の内は1月1日から7日までとする地域が多いですが、15日までとする場所もあります。7日までの場所では、一般的には7日の七草粥を食べた後に取り外します。ただし、8日に変わってからの方が良いとする家庭もあります。
しめ縄・しめ飾りを飾る日は伝統や現代の生活様式に基づいて、家庭ごとにアレンジされることが多いです。大切なのは、新しい年を迎える心の準備と、家族の笑顔と健康を祈る気持ちを大切にすることです。
「松の内」とは関西と関東
「松の内」とは、新年を迎えた際に我が家に滞在するとされる年神様がいる期間を指します。この期間中はお正月飾りを取り払ってはいけません。関東地方では松の内は1月7日までとされていますが、関西地方では1月15日までと長めに設定されています。その他、地域や家庭によっては元旦から4日間、10日間とするところもあるので、一概には言えません。
最近の傾向として、1月7日の「七草がゆ」を食べる日までが一般的とされてきているようですが、地域の伝統や家族の習慣に従って、お正月飾りの取り払い時期を決めると良いでしょう。
そして、お供えしていた鏡餅については、1月11日の「鏡開き」の日に取り払うのが一般的です。この日に割った餅は、お汁粉やお雑煮にして美味しくいただきます。
新年の神聖な雰囲気を家の中に取り入れるお正月飾り。その取り払い時期を知り、しっかりと新しい年のスタートを切りましょう。
正月飾りの使い回しは許されるの？現代の考え方
新年を迎える際、多くの家庭で正月飾りを掲げる風習があります。これは年神様の訪れを歓迎するためのもので、その背景には、家族の健康や繁栄を願う思いが込められています。こうした考えを背景に、新しい年を迎えるために毎年新しい飾りを用意するのは、それを尊重する重要な行為となっています。
しかしながら、現代の生活環境や価値観の変化に伴い、正月飾りの再利用に関する考え方も変わりつつあります。エコロジーの観点や経済的な側面から、飾りの使い回しを選ぶ家庭も増えてきました。もちろん、使い回しには、適切な保管方法や管理が必要ですが、再利用することで資源を節約し、地球環境を考える選択ともなるのです。
それに、飾りを毎年新しくすることに疑問を感じる人々もいることは確かです。伝統的な考え方と現代の価値観が交錯する中で、正月飾りの取り扱いに関する選択は、家庭や個人の思いや環境に合わせて考えるべきだと思います。
まとめると、正月飾りの使い回しはダメという固定観念を超えて、それぞれの価値観やライフスタイルに合わせた方法を取り入れても良いのではないでしょうか。
お正月飾りの処分方法と注意点
新年が明け、お正月の飾りを片付ける時期がやってきました。しかし、どのように処分すれば良いのか、気をつける点はあるのかを知ることは重要です。
伝統的な処分方法：どんど焼き
多くの神社やお寺で行われる「どんど焼き」や「左義長」という行事は、お正月飾りや古い御札やお守りを焚き上げる大切な伝統です。この行事は、火を炊くことで疫病を退け、清浄の世界を取り戻す意味が込められています。また、どんど焼きの火に当たれば、病気を避けられると言い伝えられています。もし、どんど焼きに参加できない場合でも、後日神社やお寺の古札納所に持ち込むことで、焚き上げてもらうことができます。
現代的な処分方法：家庭ゴミとしての廃棄
もし、どんど焼きなどの行事への参加が難しい場合や、近くにそのような場所がない場合は、家庭ゴミとして処分する方法も考えられます。しかし、その際には以下の点に注意してください。
- お正月飾りは塩で清めた後、白い紙や半紙に包んで処分します。
- 燃えるゴミと燃えないゴミときちんと分別してください。
- 生ものや金属、瀬戸物などは家庭ゴミとして捨てる際に、他のゴミとは分けて出すように。
- ビニールやプラスチックは燃やすと有害ガスが発生するため、持ち込みを避けること。
結論として、お正月飾りの処分方法は、家庭や住んでいる地域によって異なるかと思いますが、環境や安全を考えた方法を選ぶことが大切です。
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