半夏生(はんげしょうず)は日本の雑節の一つで、毎年7月1〜2日頃に当たります。これは伝統的に田植えが終わり、人々が休息をとる時期を指しています。また、この時期は梅雨の終わりで、大雨が降りやすいとされています。
この半夏生の時期のスピリチュアルやタコとの関係、食べ物を紹介します。
半夏生とは
半夏生(はんげしょう)は日本の雑節の一つで、毎年7月2日頃に当たります。
半夏生はいつ
かつては夏至から数えて11日目に設定されていましたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日とされています。
2024年の半夏生は7月1日です。
2024年(令和6年)以降の半夏生
2023年 | 7月2日(日) | 2024年 | 7月1日(月) |
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2025年 | 7月1日(火) | 2026年 | 7月2日(木) |
2027年 | 7月2日(金) | 2028年 | 7月1日(土) |
2029年 | 7月1日(日) | 2030年 | 7月2日(火) |
雑節とは
「雑節」は日本独自の暦で、「半夏生」のほか「節分」「八十八夜」「土用」「二百十日」などがあります。
もともと太陰暦を利用していた日本では、新暦になった時に日付と季節にずれが生じるようになりました。半月のずれは農業では大きな問題になります。そこで生まれたのが雑節です。
二十四節気の間に雑節を入れることで、本来の季節とのずれを補い、寒気や暴風雨などがわかりやすいようにしたのです。
半夏生の由来
半夏生という名前の由来については二つの主要な説が存在します。
一つ目の説は、「半夏」がカラスビシャクという薬草を指すもので、このカラスビシャクが発芽する時期を「半夏生」と名付けたというものです。
二つ目の説は、ドクダミ科の植物であるハンゲショウ(カタシログサ)が由来となっています。ハンゲショウはこの時期に半分白く変色し、化粧をしたかのように見えることから、この時期を指して「半夏生」と称するようになったとされています。
カラスビシャク(半夏はんげ)の花言葉「心を落ち着けて」
半夏生の名前の元となったカラスビシャク(半夏はんげ)は、その名が示すように、花の形がカラスの柄杓に似ています。
見た目には控えめで役に立たないように思えるかもしれませんが、その根は漢方薬として使われ、たんきりや吐き気を抑える効果があります。日本全国、九州から北海道まで広範囲に生息しています。
カラスビシャクの花言葉は、「心落ち着けて」です。これは、目立たない姿でもよく見ると価値があるというカラスビシャクにぴったりな花言葉といえます。見た目からは価値がないように思えるかもしれませんが、その根は価値ある漢方薬として用いられるのです。
半夏生の雨「半夏雨」「半夏水」
半夏生の頃には、大雨が降ることがよくあり、これを「半夏雨」(はんげあめ)といいます。地域によっては、「半夏水」(はんげみず)とも呼ばれます。
この雨は、突然の雷雨や冠水の可能性があるため注意が必要です。また、半夏生は農家にとって重要な節目で、この日までに農作業を終えることが多いです。さらに、この日には天から毒気が降るとされ、井戸に蓋をして毒気を防ぐなどの風習が存在します。
半夏生と「半夏半毛」「半夏半作」
農家では「半夏半毛」や「半夏半作」という言葉が伝えられています。これは、半夏生までに田植えを終わらせないと、秋の収穫が遅れ、予想される収穫量が半分になるという教えです。これは稲だけでなく、粟(アワ)の種まきにも当てはまります。また、「半夏生の後に農作業はなし」とも言われ、この日を境に一段落つける習慣があります。
作業の一段落をつけた後、農家では数日間の休息を取ることが多く、餅、団子、寿司、焼き麦、饅頭などの食事を楽しむことが一般的です。ヤマイモやサバを食べる地域もあります。これらの食事は、休息と栄養を取り入れて体力を回復することを目指しています。特に大阪地方では、稲の穂が豊かに分かれて育つよう願って、この日にタコを食べる風習があります。
半夏生は物忌み
半夏生は、農作業のひとつの節目であることから、この時期までに麦の収穫や田植えを終えるという目標が設定されていました。
様々な地域で独自の風習が存在し、例えば豊作を願うためにタコを食べたり、自然への感謝の意を示すために餅を食べたりするなど、この日は特別な意味を持っていました。
しかし、半夏生の日は農作業の目安だけでなく、”物忌み”の日としての意味も持っています。”物忌み”とは、穢れを避けるために食事や行動を控え、家で過ごすことを指します。
半夏生には以下のような言い伝えがあります:
- 毒気が降ると言われる半夏生の日には井戸や泉を覆う必要がある
- 毒気が降ると言われるこの日に収穫した野菜は食べてはいけない
- 三重県の熊野地方や志摩地方の沿岸部では、ハンゲという妖怪が出没し、この時期に農作業を行うことは避けられることが多い
- 竹節虫(ナナフシ)が出現するので、タケノコを食べてはいけない
これらの言い伝えの由来は明確ではありませんが、半夏生である7月2日頃は梅雨の真っ只中であり、湿度が高く体調を崩しやすい時期です。また、食中毒も起こしやすく、厳しい農作業が一段落して疲れが出やすい時期でもあります。
そのため、この時期には食事に気をつけ、家で静かに過ごし、体を休めることが求められていたのかもしれません。
これらの言い伝えは、過去の人々が生活の中で得た知恵が込められていると考えられます。
半夏生のスピリチュアル
現代の生活スタイルでは、この休息の時期が必ずしも認識されているわけではありません。多くの人々は祝日がないこの時期に働き詰めになってしまう傾向があります。忙しさから自己を見失い、時間を忘れて働きすぎることがあります。これは体調を崩す原因にもなります。
半夏生のスピリチュアル、休息を取る
この半夏生の時期、運気をアップするためには、何もせずにリラックスする時間を設けることが重要です。本格的な夏を迎える前に、心と体をリフレッシュしましょう。仕事の効率を上げるためにも、一日何もしないで過ごす、または好きなことをする時間を設けることがおすすめです。これにより、自分自身を見つめ直し、リラックスすることで直観力が上がる可能性があります。
半夏生のスピリチュアル、 自己と向き合う時間
半夏生の雨の日は、ゆっくりと本を読んだり、物思いにふける良い機会です。これらは自分自身と向き合い、自己理解を深める重要な時間です。意図的に何もしない時間を作ることは、現代生活ではなかなか難しいかもしれませんが、それは意外と贅沢な時間であり、自分自身の思考や感じ方を再評価する絶好の機会です。
半夏生のスピリチュアル、無理をしない生活
この時期は、湿度や気圧の変動から体調を崩しやすいこともあります。だからこそ、半夏生の時期は無理をせず、自分自身の健康と心の落ち着きを第一に考えるべきです。瞑想やリラクゼーションを行い、心を落ち着ける時間を大切にしましょう。
半夏生とタコの関係
関西では半夏生の時期にタコを食べることで豊作を祈ります。これは、作物がタコの足のように、大地にしっかりと根を張ることを祈願する意味が込められていると言われています。そのため、7月2日は「タコの日」にもなっています。
タコはアミノ酸の一種であるタウリンが豊富に含まれています。蒸し暑さが強まり、疲労が増すこの季節にタコを食べることは、栄養面からも理にかなっています。また、タウリンを豊富に含んだ栄養ドリンクも、疲れが溜まるこの時期には良い選択肢となるでしょう。
半夏生の食べ物と行事食
タコ以外の半夏生の食べ物と行事食を紹介します。
半夏生の食べ物と行事食、福井県の焼き鯖
福井県大野市では、江戸時代の大野藩藩主がこの日に農民に焼き鯖を振舞った逸話があり、現在も地元では半夏生に焼き鯖を食べます。
半夏生の食べ物と行事食、奈良県「はげっしょ」
奈良県の香芝市周辺や大阪府南河内地方では、農家では「はげっしょ」と呼ばれる玄米の餅を作って食べます。
半夏生の食べ物と行事食、讃岐地方ではうどん
半夏生に讃岐地方ではうどんを食べる風習があり、香川県製麺事業協同組合が1980年に7月2日を「うどんの日」に制定しました。
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